雲龍寺は水月山雲龍寺といい、聖(しょう)観世音菩薩を本尊とした曹洞宗の寺である。この寺は寛永4年(1627)までは衣村(現錦町)にあったが、矢作川の氾濫にあい四郷村寺河原(現宮下河原)へ移転した。その後、籠川の洪水によりさらに高台を求め、明暦2年(1656)になって現在地に移った。今の本堂は大正11年に再建されたものである。


観音堂
 中に入ると真ん中に本尊である十一面観音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)があり、そこには寛政2年(1790)と刻まれている。残されている記録によると、建てられたのは雲龍寺再建頃の大正12年(1923)とされている。現在の観音堂の位置は、山門の右側であるが、明治5年(1873)の雲龍寺絵図では山門の左に描かれている。再建の時に移設したのかもしれません。


とくおんさん
 この石塔は、昔からここにあったものではなく、飯田街道沿いにあった。四郷小学校南に、三叉路があり、橋の改修の際に移設された。徳本上人の筆によるもので「南無阿弥陀佛」と書かれている。地元の人は、この塔を「とくおんさん」と呼んでいた。徳本上人は、岡崎の「くほん院」というお寺の2代目の住職で、この場所にいたのは3代目の「くどうさん」だったが、地元では「とくおんさん」(徳本さん)と呼ばれていました。彼はこの地に立って、善光寺道を行きかう人々にある時はお金を、ある時は物を恵んで旅人の無事を祈り励ましていたそうである。

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